2013 年 42 巻 1 号 p. 67-70
症例は62歳女性,主訴は胸痛.発症時異常な高血圧を認め入院となるもその後経過観察となった.約1年後に胸部X線写真の異常を指摘されCTを撮影した.腕頭動脈解離および腕頭動脈瘤を認めた.解離は右鎖骨下動脈と右総頸動脈にも及んでいた.また上行大動脈の拡大も認めたため,腕頭動脈再建を含めた全弓部置換術を施行する方針となった.手術は超低体温循環停止,逆行性・順行性脳分離循環併用下に右総頸動脈と右鎖骨下動脈をY字型に作製した人工血管で再建し,上行弓部置換術を施行した.術後神経学的合併症を認めず,経過は良好であった.腕頭動脈瘤は末梢動脈瘤のなかでも稀な疾患で,瘤の形態や進展程度によって治療法はさまざまであり,文献的考察を加え報告する.