日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
Zone 2(Z2)に対する TEVAR の初期および中期成績
——左鎖骨下動脈をどうすべきか?——
緑川 博文菅野 恵高野 隆志渡邉 晃佑植野 恭平
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2013 年 42 巻 1 号 p. 6-10

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抄録

Z2 TEVARに対する初期および中期成績を検討した.2012年6月までの17例(男性16例,年齢46~82歳,平均69.4歳)を対象とした.病因は動脈硬化15例,放射線および先天性各1例,形態は全例真性瘤であった.左鎖骨下動脈(LSA)は,1)左椎骨動脈優位,2)右椎骨動脈が狭窄ないし閉塞,3)左右椎骨動脈交通がない,4)両側頸動脈病変,5)左内胸動脈を冠動脈バイパスに使用,6)広範囲胸部瘤に対するTEVAR,の場合にのみ腋窩-腋窩交叉バイパス(Ax-Ax B)を施行し,それ以外では閉鎖のみとした.デバイスはTAG 12例,TX2 5例であり,16例で瘤血栓化に成功した.Ax-Ax B 5例,LSAコイル塞栓を1例施行し,脳神経および左上肢虚血合併症なく,全例生存退院した.平均観察期間22.9カ月(5~46カ月)において,1例secondary type 1 endoleakにて外科手術移行した以外,瘤関連および手術関連合併症なく生存している.Z2に対するTEVARにおけるLSA再建有無の適応は妥当であり,その初期および中期成績は良好であった.

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