日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
非解剖学的バイパス術を行った大動脈縮窄症再発の1例
森島 重弘小野 隆志菅野 恵緑川 博文高野 隆志植野 恭平
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2014 年 43 巻 3 号 p. 108-113

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抄録

大動脈縮窄症は術後遠隔期に再縮窄,高血圧,大動脈瘤,頭蓋内動脈瘤などを認め,たんに大動脈狭窄という形態異常だけでなく,血管の機能や構造異常を伴う全身性疾患と考えられている.われわれは大動脈縮窄症術後に再狭窄,脳動脈瘤破裂,高血圧症を合併した症例を経験したので報告する.症例は17歳の男性で上半身の高血圧で当院に紹介された.幼少期に大動脈縮窄症術後再縮窄と診断され,降圧剤治療で17年間経過観察されていた.突然の頭痛と意識障害で来院した.クモ膜下出血と診断され,脳動脈クリッピング術を行った.術後,大動脈縮窄に対してステント留置血管形成術を施行した.しかしrib notchを伴う発達した側副血行による解剖学的大動脈弓遠位部(左内頸動脈-再縮窄部)低形成のため,十分な拡張が得られず圧較差が残存した.21歳時に非解剖学的バイパス術(上行大動脈-胸部下行大動脈)を行ったが,その後も降圧剤を必要とする高血圧を認めた.

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