日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
心室中隔枝に生じた冠動脈瘤の治療経験
金光 尚樹山中 一朗仁科 健廣瀬 圭一水野 明宏中塚 大介堀 裕貴安水 大介矢田 匡
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2014 年 43 巻 3 号 p. 154-157

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抄録

中隔枝に発生した冠動脈瘤症例を経験したので報告する.症例は70歳女性.9年前に拡張期心雑音を契機に前下行枝から分岐する中隔枝の冠動脈瘤(25×15 mm)を発見された.心臓外への破裂の可能性が小さいと判断され経過観察されていた.発見から9年後multi-detector row computed tomography(MDCT)で既知の瘤の中枢側に新たに瘤が出現し心外膜面に接しているように見え,かつ1年間に5 mmから12 mmへ急速に拡大を認めた.外科治療目的に紹介された.心停止下に前下行枝への冠動脈バイパスを施行し中隔枝入口を閉鎖し,その前後の前下行枝を結紮した.エコーで中隔内の瘤への血流が消失したことを確認した.術後経過は問題なくCTでバイパスグラフトの開存と瘤の消失を確認した.心室中隔内に存在する冠動脈瘤への治療の報告は少ない.若干の文献的考察を含めて報告する.

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