日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
右小開胸僧帽弁形成術に合併した再膨張性肺水腫の1例
金光 尚樹山中 一朗仁科 健廣瀬 圭一水野 明宏中塚 大介堀 裕貴安水 大介矢田 匡
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2014 年 43 巻 4 号 p. 213-217

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抄録

症例は56歳,男性.呼吸困難を主訴に前医を受診し,うっ血性心不全として入院治療を受けた.僧帽弁後尖逸脱による高度の弁逆流が原因と診断され紹介された.低侵襲心臓手術(Minimally invasive cardiac surgery,以下MICSと略)として右小開胸アプローチ下に僧帽弁形成術を施行した.人工心肺離脱後に急激に右気管支から黄色の泡沫状分泌物が流出してきた.再膨張性肺水腫と診断しdifferential ventilation,ステロイドパルス治療を行ったが低酸素血症が進行しさらに左室機能低下に伴う循環不全を呈した.術当日に大動脈内バルーンポンピング(Intra-aortic balloon pumpig,以下IABP)と経皮的心肺補助(Percutaneous Cardiopulmonary Support,以下PCPS)を導入した.5日目にPCPSを離脱し独歩退院可能であった.右開胸下MICSに伴う再膨張性肺水腫は稀ではあるが致死的となりうる合併症である.

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