日本心臓血管外科学会雑誌
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症例
裁縫針による穿通性心損傷の1例
佐野 俊和手嶋 英樹田井 龍太池淵 正彦入江 博之
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キーワード: 心臓異物, 穿通性心損傷
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2014 年 43 巻 6 号 p. 310-312

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抄録

症例は24歳女性.非定型うつ病で精神科通院中.裁縫針が胸部に刺さり抜けなくなったことを主訴に受診した.胸部X線撮影および単純CT検査で心内に金属針を認め,穿通性心損傷の診断で入院となった.気胸,心タンポナーデは認めず,循環動態も落ち着いていたため,入院翌日に左肋間小切開で異物除去術を予定していた.しかし,術前経胸壁心臓超音波検査で偶然心房中隔欠損症(ASD)を診断したため,心臓異物除去術とASD閉鎖術の同時手術の方針とした.胸骨正中切開にて心嚢に達すると,裁縫針は左前胸部から心臓に穿通する状態で確認できた.心停止後,右房を切開し,右室を三尖弁越しに確認したが,肉柱の影響もあり裁縫針は右室内腔から確認できなかった.裁縫針を抜去し,多孔性ASDは直接縫合閉鎖を行った.裁縫針の長さは35 mmであった.術後経過は良好であり,術後4日目に精神科病院へ転院となった.

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