2014 年 43 巻 2 号 p. 72-75
症例は69歳男性.右冠動脈閉塞による心筋梗塞,高位後壁側の心室中隔穿孔と診断され,当院へ搬送された.循環動態が安定し,左室壁に梗塞所見が認められなかったため,発症4週目に手術を施行した.右房アプローチにより高位後壁の心室中隔穿孔を同定し,ウシ心膜パッチ,テフロンフェルトを用いて作製したパッチをsandwich technique法で穿孔部を閉鎖し,CABG(SVG-LCx)を施行した.術中止血に難渋することなく,術後心臓超音波検査で残存シャントを認めず,心室機能は保持されていた.高位後壁側の心室中隔穿孔に対して,本アプローチは右房切開のみで穿孔部を閉鎖でき,心室機能が維持できる点で有用な術式と考えられた.