2014 年 43 巻 2 号 p. 84-87
20歳時より完全内臓逆位を指摘されていた80歳女性.糖尿病の既往があり,1992年に左前下行枝相当に経皮的冠拡張術を施行,その後,2011年に右冠動脈相当に対してステント留置術を施行した.胸部不快感を認め精査を行ったところ,左主幹部を伴う2枝病変を認め,冠動脈バイパス術目的に当院紹介となった.前下行枝はび慢性病変であり内膜摘除術と右内胸動脈による再建を行い,左内胸動脈を用いて回旋枝の血行再建を施行した.内臓逆位に冠動脈バイパス術を施行した稀な症例であり,文献的考察を加え報告する.