日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
パンヌス形成による三尖弁位生体弁機能不全に対し再弁置換術を施行した1例
松隈 誠司江石 清行橋詰 浩二有吉 毅子男谷口 真一郎住 瑞木
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2014 年 43 巻 3 号 p. 97-100

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抄録

パンヌス形成による人工弁機能不全は頻度的に多くはないものの三尖弁置換術後の重要な合併症とされている.今回87歳女性に対し三尖弁置換術後の重症三尖弁狭窄兼閉鎖不全症の診断で再弁置換術を施行した.切除した人工弁には三尖弁中隔尖に当たる部分に強固なパンヌスおよび腱索の付着を認めた.パンヌス形成を認めた人工弁弁尖は短縮および弁尖先端の牽引のため弁尖接合不良となり,また隣接弁尖との交連部はパンヌスにより癒合を認めた.病理所見にてパンヌス基部には弾性線維を認め,人工弁尖と残存自己弁尖との接触が過剰パンヌス形成の重要な要因と思われた.三尖弁置換術で使用する人工弁については現在でも意見が分かれる.三尖弁置換術では機械弁を含めて慎重な人工弁選択が必要と思われ,生体弁を選択するさいはパンヌス形成予防の点から人工弁弁尖とソーイングカフを隔てるステント基部高やステントポスト高も考慮にいれて選択する必要があると思われた.

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