2014 年 40 巻 3 号 p. 366-369
頭頸部癌化学放射線療法では口腔粘膜障害が必発である。今回我々は,頭頸部癌化学放射線療法(CRT)および超選択的動注化学療法併用放射線治療(IACRT)中の鎮痛薬の使用状況につき調査した。2009年1月から2010年12月までに当院耳鼻咽喉科に入院し,CRTもしくはIACRTを施行した頭頸部癌症例を対象とした。強オピオイド使用率は全体の50%であり,口腔内照射が多い症例では使用率が高かった。オピオイド開始時の平均疼痛レベルは5(10段階数値学的スケール)であった。オピオイド開始時期は平均26.8Gy照射時であったが,IACRTでは平均20GyでIACRTが有意にオピオイド導入が早かった。口腔粘膜障害Grade(期間中最大値)の平均は2.15であったが,IACRTでは平均2.26と粘膜障害が強かった。IACRTは局所障害がより早期から生じやすく,麻薬導入も早期に検討する必要が示唆された。