2013 年 40 巻 3 号 p. 291-295
弁膜瘤は比較的まれな疾患であり,その多くは感染性心内膜炎に続発することが知られている.症例は82歳,女性.慢性心不全の急性増悪にて来院した.発熱なく,血液検査では炎症反応を認めなかった.経胸壁心エコー図検査では僧帽弁前尖弁腹に約2.5 cm大の輪状構造物が認められ,カラードプラ法にて高度僧帽弁逆流が認められた.経食道心エコー図検査にて僧帽弁前尖の一部に欠損を有するドーム状エコー像を認めた.穿孔性僧帽弁膜瘤と診断し,僧帽弁置換術を施行した.切除標本は陳旧性心内膜炎の病理所見であり,弁膜瘤の原因として不顕性感染性心内膜炎が示唆された.