薬剤疫学
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企画/ SS-MIX を基盤とする大規模データベースを用いた医薬品等の安全性調査・研究
6.厚生労働省標準的医療情報交換推進事業の成果物 SS-MIX 標準ストレージの概要と効用
木村 通男
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キーワード: 市販後調査, 病院情報, SS-MIX
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2013 年 18 巻 1 号 p. 49-56

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抄録

SS-MIX とは,平成 18 年度の厚生労働省標準的医療情報交換推進事業のプロジェクト名である.標準化(国際標準である HL7 形式)で,処方,検体検査結果,病名登録,患者基本をはき出すことができる病院情報システムであれば,メーカに関係なく,これらを蓄積するソフトウエアが無償で提供されている.2012 年 3 月末の段階で,全国で 116 の病院が,この SS-MIX 標準化ストレージを装備しており,その多くが,処方,検査結果,病名をそろえて蓄積している.これは,厚生労働省が診療施設の災害対策に関する補助事業を実施した際,有識者会議がこのストレージが有用であると推奨したことも寄与している.各社の病院情報システムから HL7 で標準化された処方,検査結果,患者基本情報が標準ストレージに蓄積される.これを用いて,報告書作成,紹介状作成,災害時のバックアップ,臨床情報検索システムへのデータ提供など,さまざまな利用が可能である.調査票に手書きで記載する場合,該当薬処方,併用薬,検査結果など,実はすでに病院情報システムが持っている情報のことが多い.画面を見ながら間違えなく入力する作業は,医師であろうがスタッフであろうが,無駄であるだけでなく,情報の精度,粒度を下げている.情報の精度向上については,言を待たない.病院情報システムから,該当薬処方,併用薬,検査結果が SS-MIX 標準ストレージに蓄積されている.各病院が厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠していることを前提とすれば,これらの情報を,ヴァリデーションに耐え得る精度で元資料のまま取り込むことを容易に達成できると考えられる.(薬剤疫学 2013;18(1):49-56)

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© 2013 日本薬剤疫学会
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