日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
小児期からのCKD対策には県全域の園医・学校医を支援する組織が必要
桑門 克治田中 紀子澤田 真理子藤原 充弘武田 修明
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2013 年 26 巻 1 号 p. 52-57

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抄録

 学校検尿は慢性腎炎を原疾患とする小児期腎不全患者数の減少に寄与してきたが,岡山県27市町村の聞き取り調査で,倉敷市以外は学校検尿有所見者の事後措置に医師会の関与がないことが判明した。成人の透析導入者の原疾患として急速に増加している糖尿病性腎症や腎硬化症の予防のためには,2型糖尿病の発見のみならず,肥満や羸痩の児への介入や,中学・高校生に対する健康教育などが必要である。このためには,種々の領域の小児科専門医が共同して地域の園医・学校医を支援する組織と連携網を設け,成人のCKD対策地域連携システムと連結させるべきである。地方では小児腎臓病学会員のみならず小児科専門医も偏在しているので,県全域を支援する連携網でなければならない。医療等IDや高いセキュリティを備えた地域連携情報システムの導入は連携の充実と効率化につながるものと期待される。この仕組みによってさまざまな知見が蓄積されれば,疫学的解析に基づく保健・医療施策や長期予後の解析に基づく診療指針の策定も可能となるはずである。

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© 2013 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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