日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
重複腎盂尿管に合併した続発性偽性低アルドステロン血症の乳児例
杉本 哲森 潤森田 高史短田 浩一小松 博史中島 久和小坂 喜太郎
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2013 年 26 巻 1 号 p. 94-98

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抄録

 症例は生後8か月の女児。哺乳不良と体重増加不良を主訴に当科を受診した。初診時,低ナトリウム血症,高カリウム血症,高レニン血症及び高アルドステロン血症を認めた。画像検査で右重複腎盂尿管を認め,腎尿路奇形に伴う続発性偽性低アルドステロン症(secPHA)と診断した。輸液治療と塩化ナトリウムの補充で神経学的後遺症なく軽快した。secPHAには心停止・痙攣・意識障害といった重篤な経過をたどる例も存在するが,適切な治療を行えば予後は良好である。低ナトリウム血症,高カリウム血症を呈する乳児については,本疾患を鑑別疾患の一つとして念頭に置くべきである。尿細管の未熟性に尿路奇形・尿路感染症が合併することで,ミネラロコルチコイド受容体や上皮性Naチャネルの機能低下が生じ,secPHAを発症すると考えられているが,分子生物学的な背景を含めて病態の詳細は不明であり,病態解明には更なる基礎研究の進歩が望まれる。

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© 2013 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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