日本臨床外科学会雑誌
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原著
乳癌センチネルリンパ節生検後のseroma形成における超音波凝固切開装置の有用性
川田 有希子露木 茂河口 浩介山口 絢音川口 展子河野 幸裕
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2012 年 73 巻 11 号 p. 2735-2740

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抄録

乳癌治療において,センチネルリンパ節生検は標準手術となり,術後合併症の減少は患者のQOL向上に重要である.今回われわれは,乳房温存手術・センチネルリンパ節生検施行173例を対象とし,腋窩操作における超音波凝固切開装置(Ultrasonically Activated Coagulating Shears: UACS)のseroma形成予防に対する有用性を,電気メス群を対照として比較検討した.seroma発生頻度において,対照群では34%(30/88例)に対して,UACSは13%(11/85例)と有意に低下させた.平均穿刺回数も対照群2.0回に対してUACS群は1.7回と有意に少なかった.さらにBMI:25以上の肥満症例や摘出リンパ節個数4個以上の症例においても,UACSは有意にseroma発生頻度を減少させた.
以上より,UACSはセンチネルリンパ節生検において,術後seromaの発生防止に有用である.

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