日本臨床外科学会雑誌
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症例
高度な肺の圧迫を伴った成人右側Bochdalek孔ヘルニアの1例
溝口 高弘黒田 博彦永井 聡渡部 裕志高橋 節栗栖 泰郎
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2013 年 74 巻 7 号 p. 1821-1826

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抄録

症例は71歳,女性.脱水症と横紋筋融解症の加療目的で入院となっていた際に胸部立位X線検査で右横隔膜に連続する異常陰影を指摘され,CTにてBochdalek孔ヘルニアと診断された.頻回の咳や歩行時の呼吸困難など肺の圧迫症状があるため開腹手術を行った.脱出臓器は空腸から横行結腸までであった.上行結腸は全く固定されておらず,小腸から横行結腸まで総腸間膜症の状態であったが,完全に整復することができた.右横隔膜後外側に4.0cm×3.5cmのヘルニア門を認めポリプロピレンパッチで横隔膜欠損部を補填した.術後,咳と呼吸困難は消失した.本邦における成人右側Bochdalek孔ヘルニアの手術報告例は少なく,特に呼吸症状を伴うものは稀である.経腹的アプローチは腹腔臓器の観察を行うのに適したアプローチ法と思われる.

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© 2013 日本臨床外科学会
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