日本臨床外科学会雑誌
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症例
MDCTにて術前診断し整復術を行った左傍十二指腸ヘルニアの1例
奥山 桂一郎田中 聡也田中 雅之廣橋 喜美佐藤 清治
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2013 年 74 巻 7 号 p. 1856-1860

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抄録

52歳,男性.主訴は腹部膨満感.近医でイレウスを疑われ,当院紹介となった.腹部CT検査で左傍十二指腸ヘルニアと診断し,緊急手術を施行した.腹腔鏡下に整復を試みたが,脱出腸管が多量で拡張も強かったため,開腹操作に移行した.脱出腸管を整復後,ヘルニア門を閉鎖し手術を終了した.術後,一過性の腸管狭窄を認めたが,保存的に軽快した.術後25日目より食事を開始し退院となった.過去の傍十二指腸ヘルニア報告例を解析した結果,画像診断の発達に従い1990年代には22%であった術前正診率が2000年以降69%と向上を認めた.また,左傍十二指腸ヘルニアでは待機的に腹腔鏡下手術を選択する症例が多くみられたのに対し,右傍十二指腸ヘルニアでは緊急開腹手術が多数を占めていた.しかし,両群共に腸管壊死による腸管切除を施行した症例は少数であるため,本ヘルニアに対しては腹腔鏡下整復術を第1選択にできる可能性が示唆された.

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© 2013 日本臨床外科学会
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