日本臨床外科学会雑誌
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症例
稀な進展形式を示した豊胸術後乳腺腺様嚢胞癌の1例
山本 晋也千島 隆司原田 郁
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2701-2705

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抄録

乳腺原発の腺様嚢胞癌は非常に稀で,頻度は全乳癌の0.1%以下とされている.本症例は以前に豊胸術を行っており,腫瘍の進展形式が特殊であった.症例は57歳女性で腫瘤自覚を主訴に受診.豊胸術の既往がある.精査の結果胸壁浸潤をきたし腋窩リンパ節転移を伴う乳癌と診断した.化学療法を施行したが,効果は乏しく,高度な疼痛を伴っており,疼痛コントロール目的で胸壁合併切除も視野に手術の方針とした.豊胸バック除去後の被膜が胸筋背側にポケットを形成するように存在し,これより背側への浸潤は認めなかった.胸筋合併定型的乳房切除を行い,一部肋間筋・肋骨骨膜を合併切除し,腫瘍が露出しないように根治切除を行った.術後病理診断はリンパ節転移陽性の腺様嚢胞癌であった.現在疼痛なく無治療経過観察中である.

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