日本臨床外科学会雑誌
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症例
早期胃癌腹腔鏡下手術中に腸回転異常症が指摘された1例
伊関 雅裕安食 隆山内 淳一郎石山 秀一坂田 直昭海野 倫明
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キーワード: 腸回転異常, 胃癌, 腹腔鏡
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2776-2781

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抄録

症例は56歳の女性で,時折みられる心窩部痛のため当院を受診した.上部消化管内視鏡検査で胃体下部および穹窿部にIIc病変が認められ,生検組織診により重複早期胃癌と診断とされた.腹部CT上,遠隔転移はみられなかったが多脾症・十二指腸前門脈が認められた.胃癌に対して腹腔鏡下胃全摘術が施行されたが,その際にTreitz靱帯の形成が認められないことと,十二指腸から上部空腸にかけての腸管が右方に偏位していることが判明し,腸回転異常症と診断された.予定通り定型的な腹腔鏡下胃全摘術・Roux-en-Y再建が行われた.術後経過は良好で再発・合併症は認められていない.
成人の腸回転異常症は稀な疾患であり,特に胃癌を合併した症例報告は少ない.本症例に対し安全に手術を行うためには,術前診断が重要であり,さらに術式の検討が必要であると考え報告した.

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© 2013 日本臨床外科学会
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