日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
混合性結合組織病に合併した出血性無石胆嚢炎の1例
北島 知夫蒲原 行雄平山 昂仙野中 隆徳永 隆幸永田 康浩伊東 正博
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 11 号 p. 3156-3159

詳細
抄録

症例は70歳台,女性.40代後半より混合性結合組織病(mixed connective tissue disease;MCTD)の診断でステロイド内服治療中であった.近医で,貧血と急性胆嚢炎の診断で輸血・抗生剤投与が行われた.胆嚢炎増悪のため胆嚢ドレナージも施行されたが,血性排液が持続し止血傾向がみられないため当院紹介となり,開腹手術を施行した.胆嚢は緊満し凝血塊が充満しており,腹腔内にも陳旧性血液貯留を認めた.摘出胆嚢の病理組織検査では,胆嚢壁内の出血・炎症性細胞浸潤を認め,壁内の中等大動脈の内膜肥厚と内腔狭小化がみられ血管炎の像を呈していた.全身性エリテマトーデスに合併する無石胆嚢炎の報告が散見されるが,本症例はMCTDに起因する膠原病性血管炎を背景に胆嚢炎・胆嚢内出血をきたしたものと考えられる.出血性胆嚢炎の場合は速やかに胆嚢摘出術を行うべきと考える.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top