症例は63歳,女性.突然の右季肋部痛と背部痛を主訴に当院救急部を受診した.造影CT検査にて,傍十二指腸乳頭憩室の頭背側で壁の造影効果の欠損があり,そこから連続して後腹膜腔への液体貯留を認め,傍十二指腸乳頭憩室の後腹膜穿通が疑われた.腹膜刺激症状は徐々に増悪しており,保存的治療は困難であると判断し,緊急手術となった.上腹部正中切開にて開腹し,十二指腸を授動すると憩室に穿孔を認めた.憩室を切開したところ,約2.0cm径の結石を認めた.憩室内結石の嵌頓による傍十二指腸乳頭憩室穿通と診断し,結石を摘出した.次いで,憩室を切除し縫合閉鎖した.胆道系減圧のためC-tubeを挿入し手術を終了した.術後は順調に経過し退院となった.憩室内結石による傍十二指腸乳頭憩室後腹膜穿通という稀な症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.