日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した馬蹄腎を合併したS状結腸癌の1例
大谷 剛石村 健若林 久男
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2014 年 75 巻 1 号 p. 140-143

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抄録

症例は47歳,女性.腹痛の精査でS状結腸癌と診断された.術前CT・3D-CTで,S状結腸に径55×40mmの腫瘤と周囲のリンパ節の腫脹を認めた.また馬蹄腎を認め,右腎盂の拡張と右総腸骨動脈から腎峡部への過剰腎動脈を認めた.また腎静脈にも破格を認め,左腎下極からの腎静脈は上腸間膜動脈の近傍を走行していた.cSS,cN1,cM0 cStage III aと術前診断し,腹腔鏡下S状結腸切除術(LCA温存D3郭清)を施行した.術中所見では腎動静脈の破格を認識することはなかったが,左腰内臓神経が馬蹄腎の前面を走行している所見を認めた.馬蹄腎においても腎臓は後腹膜臓器であり,通常の結腸切除では操作の及ぶ構造物ではないが,左右の腎門部は腹側を向いており,動静脈の破格,尿管,性腺動静脈,腰内臓神経の走行の変位に留意し,副損傷をきたさないような丁寧な剥離操作を要する.安全な手術手技について文献的考察を加えて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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