日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳房温存療法10年後にPaget型乳房内再発をきたした乳癌の1例
清水 哲朗三輪 武史湯口 卓坂東 正島多 勝夫
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2014 年 75 巻 1 号 p. 29-33

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抄録

乳房温存手術10年後にPaget型再発をきたした症例を経験したので報告する.患者は,初回手術時51歳女性で,非浸潤性乳管癌と診断し,Bq+Axを施行後,温存乳房に放射線治療を行った.術後10年で,同側乳頭乳輪中心に紅斑が出現し,皮膚生検によりBowen病が疑われた.乳腺内には病変を認めず,皮下および乳腺を含めた局所切除術を行った.病理組織検査では,表皮内にPaget細胞に類似した腫瘍細胞が認められ,乳頭の乳管に沿って乳管内癌が認められた.免疫組織化学的に,CK7およびHER2陽性,CK20・ER・PgR・GCDFP15はいずれも陰性で,非浸潤性乳管癌温存治療後のPaget型乳房内再発と判定した.補助化学療法を行い,再発を認めていない.

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© 2014 日本臨床外科学会
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