全日本鍼灸学会雑誌
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臨床体験レポート
通年性アレルギー性鼻炎に対する鍼治療の影響
高浪 景子仲西 宏元矢野 忠
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2013 年 63 巻 1 号 p. 33-42

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抄録

【目的】通年性アレルギー性鼻炎患者は増加傾向にあり、 鍼灸治療を受療する患者は少なくはないが、 本症に対する鍼灸治療のエビデンスはまだ明らかにされていない。 そこで本研究では、 単一症例研究法 (ABA法) を用いて通年性アレルギー性鼻炎に対する鍼治療の効果を検討した。
【方法】対象は通年性アレルギー性鼻炎患者3名、 治療前のアレルギー性鼻炎総合重症度分類では重症2名、 中等症1名。 鍼治療は週2回で4週間、 計8回行った。 評価はアレルギー性鼻炎症状から求めた重症度、 鼻粘膜所見、 主観的な鼻閉の程度、 血中好酸球数、 血清IgE抗体値を検討した。 各評価は治療前無治療期間 (A1期間)・鍼治療期間 (B1期間)・治療後無治療期間 (A2期間) の各期間 (各4週) に行った。
【結果】鍼治療によるアレルギー性鼻炎総合重症度の改善は1名、 アレルギー性鼻炎各症状重症度の改善は3名であり、 3名とも重症度の改善に伴い、 鼻粘膜所見の改善と鍼治療前後の主観的な鼻閉の程度が改善した。 しかし、 血液学的所見の変化はみられなかった。
【考察・結語】通年性アレルギー性鼻炎に対する短期的な鍼治療は、 特に鼻閉症状に対して効果があることが示唆された。 一方、 単一症例研究法のデザイン設定に改善が必要なことが分かった。

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© 2013 社団法人 全日本鍼灸学会
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