日本臨床麻酔学会誌
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日本臨床麻酔学会第32回大会 シンポジウム ─麻酔は脳にとって“悪”なのか─
幼若ラットの海馬機能に対する全身麻酔薬の長期的な障害作用
加藤 類橘 かおり内田 洋介橋本 聡一瀧田 恒一森本 裕二
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2014 年 34 巻 1 号 p. 018-024

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抄録

  近年,神経発達期の実験動物に対する全身麻酔薬暴露が神経細胞死や認知機能障害を引き起こすことが報告されている.海馬における長期増強現象(long-term potentiation:LTP)は認知機能に深く関与しているが,幼若期の麻酔薬暴露により長期的な影響を受ける可能性がある.われわれは,幼若期のラットにペントバルビタール,セボフルラン,プロポフォールを暴露し,海馬機能に与える長期的な影響を電気生理学的手法を用いて検討した.その結果これらの薬剤は,海馬CA1領域におけるLTPを長期的に抑制することが明らかとなった.幼若期の麻酔薬暴露は長期的なシナプス可塑性の異常を誘導し,成長後の認知機能障害の原因となる可能性が示唆された.

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© 2014 日本臨床麻酔学会
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