2014 年 24 巻 1 号 p. 51-55
口腔底に発生する皮様囊腫(表皮様囊腫を含む)は本邦では萩崎らの分類(以下,萩崎分類)に従って舌下型,舌オトガイ下型とオトガイ下型の3つに分類されるのが一般的である。今回それぞれに属する口腔底皮様囊腫の治療機会を得たので報告した。萩崎分類はこれらの皮様囊腫の治療を考えるうえで非常に有効な臨床分類であるが,考察を進めていくとオトガイ下型と舌オトガイ下型の解釈に2つの問題があることに気づいた。それはオトガイ下型が解剖学上はオトガイ下にあり実は口腔底の囊胞でないことと,舌オトガイ下型は巨大ではあるが解剖学上は舌下型と同じものと考えられることである。このような問題を解消するため,われわれは萩崎分類の改編案をここで提案した。