2000 年に噴火した三宅島雄山の火山噴出物に対し,高濃度火山ガスが通過する山腹斜面における緑化の可能性を把握するため,高濃度火山ガスが噴出している2 時期の酸性化した噴出物表層の試料を採取し,物理性と化学性の比較を行った。さらに噴出物表層の微細な堆積構造を土壌薄片によって観察した。これらの結果,リターが噴出物層の硬化の改善に影響を与えていることが明らかになった。リターがなく表面侵食が発生している噴出物層では雨滴による構造クラストで地表が硬化していた。硬化した場所では植物の根の伸長が困難な値 (土壌指標硬度17 mm 以上) であった。中和石灰量の測定から高濃度火山ガスが通過する調査地の噴出物層では,アルミニウム溶出に伴う根系への悪影響が生じていると推察された。したがって,高濃度火山ガスが噴出している時期に播種による緑化は困難であると考えられた。