2013 年 7 巻 2 号 p. 101-105
【目的】未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術中に生じた血栓塞栓症に対し,抗血栓薬の追加により治療できた症例を報告する.【症例】66歳,女性.脳ドックで指摘された右脳底動脈-前下小脳動脈(anterior inferior cerebellar artery;AICA)の未破裂脳動脈瘤に対しballoon assist techniqueにて塞栓術を行った.術中コイルに血栓が付着してAICAが描出されなくなったため,ヘパリン追加と,オザグレルナトリウム,クロピドグレル,エダラボンを投与した.30分後血栓は消失し,AICAの描出は正常化し,術後アルガトロバンとオザグレルナトリウムを継続した.【結論】塞栓術中に生じた血栓塞栓合併症に対し,まず抗血栓療法の強化を試みるべきであると考えられた.