2013 年 7 巻 5 号 p. 323-329
【目的】出血源として特定困難であった破裂末梢性解離性上小脳動脈瘤の1例を認めたので報告する.【症例】55歳,男性.意識障害で発症し,当院へ救急搬送となった.頭部CTではくも膜下出血を認めたが,脳血管造影検査で主幹動脈に明らかな嚢状動脈瘤を認めなかった.左上小脳動脈末梢部に形状変化を認めたが,確定診断に至らず待機的観察となった.発症3日後に施行した3D-DSAでも左上小脳動脈末梢部の形状変化を認め,MRIで左上小脳動脈領域に梗塞を認めることから,左上小脳動脈解離性脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と判断した.発症6日後,動脈瘤を含めた上小脳動脈の閉塞術を施行した.術後,画像上に左上小脳動脈領域脳梗塞の拡大と一過性の右共同偏視を認めた.【結語】後頭蓋窩のくも膜下出血の原因として上小脳動脈解離を考慮する必要がある.破裂解離性上小脳動脈瘤に対する治療として親血管を含む動脈瘤塞栓術は有効な治療であると考えられた.