日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
Print ISSN : 0387-5172
ISSN-L : 0387-5172
一般講演
1年以上経過観察できた非器質性視覚障害の検討
小澤 優貴小林 香向井 章太佐藤 瑞恵石井 祐子永野 雅子小口 芳久若倉 雅登井上 賢治
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 41 巻 p. 155-161

詳細
抄録

目的:1年以上経過観察できた小児の非器質性視覚障害の症例において、視機能検査結果の経過などから治癒に長期間を要した症例の臨床的特徴を検討すること。
対象及び方法:対象は平成18年1月~平成22年12月の5年間に井上眼科病院を受診し、非器質性視覚障害と診断された経過観察期間1年以上の15歳未満小児130例(男児20例・女児110例)。診療録の視機能検査結果より視力の経過から短期改善群(24例)・長期改善群(20例)・繰り返し群(55例)・改善なし群(31例)の4群に分け、男女比・受診動機・全身所見・屈折検査・眼鏡処方・診断時視力・診断時年齢を後ろ向きに検討した。
結果:4群の中では繰り返し群が最も多く、特に女児で高い割合を占めた。男児は女児との比率において、短期改善群は他3群より高かった。片眼性は女児のみであり、全例で視力の改善をみた。4群とも受診動機は学校健診、推定される因子は不詳、診断時年齢は8~9歳が最多であり、群間で差はなかった。改善なし群では診断時視力が不良な症例が多くみられた。このうち女児と7歳以下の症例においてこの傾向が顕著にみられた。
結論:長期観察できた非器質性視覚障害において、女児は診断時視力も予後も不良で、男児では良好な傾向がみられた。過去の報告と比較し、視力の再低下を繰り返す割合が更に高まる結果となった。診断時視力が低いと繰り返し群・改善なし群となる傾向がみられた。

著者関連情報
© 2012 日本視能訓練士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top