土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.28
貝殻混じりセメント固化体の諸特性と藻礁への実用化に関する検討
菊原 紀子上野 一彦小笠原 哲也山田 耕一阿波 稔藤田 大介
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2012 年 68 巻 2 号 p. I_1109-I_1114

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抄録

 水産系副産物として発生するホタテ貝殻は年間約20万トンにおよび,その多くは産地周辺に野積みされて保管されている.本研究では,貝殻を破砕して骨材に用いた貝殻混じりセメント固化体(以下,SC固化体)の開発の一環として材料試験,現地での施工実験,海域設置実験を実施した.さらに実用化に向け,藻場造成事業を想定したコストやCO2排出量の試算を実施し,一般的な藻礁ブロック(以下,普通固化体)との比較を行った.その結果,貝殻を混合したSC固化体でも一定の強度が確保され,現地施工も実施可能であることが確認された.また,海域設置実験では普通固化体と同等に海藻の着生が認められた.コスト試算ではSC固化体の方が4%程度コスト増である一方,CO2はSC固化体内に貝殻を封じ込めることにより排出量がほぼ0となるため,普通固化体よりもCO2固定効果が高いことがわかった.

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© 2012 公益社団法人 土木学会
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