2012 年 68 巻 2 号 p. I_1109-I_1114
水産系副産物として発生するホタテ貝殻は年間約20万トンにおよび,その多くは産地周辺に野積みされて保管されている.本研究では,貝殻を破砕して骨材に用いた貝殻混じりセメント固化体(以下,SC固化体)の開発の一環として材料試験,現地での施工実験,海域設置実験を実施した.さらに実用化に向け,藻場造成事業を想定したコストやCO2排出量の試算を実施し,一般的な藻礁ブロック(以下,普通固化体)との比較を行った.その結果,貝殻を混合したSC固化体でも一定の強度が確保され,現地施工も実施可能であることが確認された.また,海域設置実験では普通固化体と同等に海藻の着生が認められた.コスト試算ではSC固化体の方が4%程度コスト増である一方,CO2はSC固化体内に貝殻を封じ込めることにより排出量がほぼ0となるため,普通固化体よりもCO2固定効果が高いことがわかった.