2012 年 68 巻 2 号 p. I_186-I_191
仙台湾の南端部に位置する福島県相馬市にある松川浦は,南北に細長い海跡湖で太平洋と松川浦の水域を分けるように細長い砂州が延びている.この松川浦では,2011年3月11日の東日本大震災時に,砂州上で生じた津波の砕波および越流により,大規模な地形変化および海岸保全施設の被害が生じた.加えて,海中生態系の生息条件として重要な底質環境も松川浦全域で変化した可能性があった.さらに,松川浦の大規模な水深(海底地形)変化は,将来的に浦内の流況を変化させ,結果として津波前と異なる水質環境や生物生産環境を引き起こす可能性もあるので,松川浦で底質と水域地形の現地調査を行い,津波前の状況と比較することにした.