2014 年 70 巻 1 号 p. 13-18
室戸岬西方沖13km水深128m地点に設置し,3年7カ月間にわたって波浪・津波・潮汐の観測に供した実証試験用GPS海洋ブイに対する揚収実験を実施した.このブイの係留系摩耗損傷状況の調査結果を報告する.実証試験期間中に台風1106号に伴う有義波高8.4mの高波などの来襲を受けたものの,ブイ尾筒下端の係留環と係留チェーンとの連結のためのシャックルの最大摩耗量は,6mm(1.67mm/年)であった.これは当初想定していた10mm/年より,はるかに小さい値であった.摩耗量が最も大きかったのは,想定のとおり,年当たり数百万回におよぶ海底との離着をする係留索立ち上がり部のリンクであり,その摩耗量は最大7mm(1.95mm/年)であった.この場合も5mm/年の設計想定摩耗量より小さい値であった.