日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
Proteus症候群による椎体と背筋群の過成長に伴う側彎と胸郭変形のため気管・気管支狭窄をきたした一症例
佐藤 幸子乙め 公通照屋 愛山口 怜安保 佳苗中村 京一山本 公三高橋 幸雄
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2012 年 19 巻 4 号 p. 650-654

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抄録

Proteus症候群は,世界でおよそ100件の報告しかない稀な疾患であり,全身臓器の過成長をきたす先天性過誤腫を特徴とする。今回,我々は,本症候群による椎体と背筋群の過成長に伴う側彎と胸郭変形が原因で,進行性の気道狭窄をきたした症例を報告する。症例は11歳,男児。喘息治療で入院中に重度の呼吸困難を呈し,気管挿管,人工呼吸管理となった。胸部CTにて気管と両側気管支の狭窄を認めた。保存療法では人工呼吸器離脱が困難であったため,気管切開後,胸郭変形に対して胸骨挙上法(Nuss法)と胸骨柄切除術を施行した。術後は人工呼吸器の設定を軽減でき,人工呼吸補助のままではあるが小児病棟へ退出できた。胸部CT所見でも気管・気管支狭窄部の改善を認めた。しかし,その後も胸郭変形が進行し,約2ヶ月後に肺炎が契機となって死亡した。胸郭変形への外科的治療により気管・気管支狭窄は改善したものの,本症例においてはその効果は一過性であった。

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© 2012 日本集中治療医学会
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