2013 年 27 巻 2 号 p. 179-187
【はじめに】食物経口負荷試験の結果に基づき定量的にアレルゲン摂取を開始する食事指導の実行可能性と安全性を検討した.
【方法】対象者の年齢は11~161カ月,食物経口負荷試験の目的は,食物アレルギー診療ガイドライン20121)に記載された診断・耐性獲得診断を含む.ゆで卵白・うどん・牛乳を用いた1, 2, 5, 10, 20-30 g漸増法による負荷試験で,負荷陰性者は最終負荷量から,負荷陽性者は症状グレードに応じて減量した摂取開始量を設定した.摂取食品は,鶏卵はゆで卵白・いり卵・薄焼き卵,小麦はうどん・麺類,牛乳は牛乳・ヨーグルトを使用した.1~2カ月後の外来で,食事日誌の記載を基にして症状出現の有無等を確認した.
【結果】負荷試験の結果,除去継続と判定し摂取指導未実施群99人を除く142人(負荷陰性78人,陽性64人)に摂取指導を行い,そのうち123人は指示した摂取食品,回数,量を遵守して摂取が出来ていた.負荷陽性者の総摂取回数1181回のうち,68回(5.8%)で誘発症状を認めたが,負荷陰性者1179回中54回(4.6%)と比較して有意な差を認めなかった.抗ヒスタミン薬の使用は4回で,そのうち3回は負荷陰性者であった.
【まとめ】今回の食事指導は,負荷陽性者に対しても負荷陰性者と同等の安全性をもって実施可能であった.