2011 年 49 巻 10 号 p. 678-682
有性生殖で生まれる子供は,両親から1組ずつの遺伝子を受け継ぐ.受け継いだ2組の対立遺伝子のうち,メンデルの優性の法則に従って,いずれか一方の形質のみが現われる場合が数多く知られている.しかし,なぜ一方の対立遺伝子の形質のみが現われるのか,その機構がきちんと解明された例は意外に少ない.アブラナ科植物の自家不和合性の花粉側S因子をコードするSP11遺伝子の優劣性現象を解析する過程で,従来の機構とはまったく異なる優劣性制御機構が発見された.ここでは,small RNAを介したSP11遺伝子の優劣性制御機構について紹介する.