本研究は,インバージョン手法による津波波源の推定,データベースの線形重ね合わせによる沿岸の津波波形の予測,GPUを利用した高速な津波浸水の数値計算の3種類の技術を組み合わせて,GPS波浪計などによって観測される沖合の津波波形から,沿岸における津波到達時刻・津波高・浸水状況を即時的に予測する手法を開発した.開発した即時的津波浸水予測手法を,歴史地震を再現した数値実験と2011年東北地方太平洋沖地震で実際に観測されたデータへ適用した結果,沖合で津波の第1波の最大値を観測してから5分以内に,第1波の到達時刻・高さ・浸水状況を50%程度の誤差で正しく予測できることを明らかにした.