日本東洋医学雑誌
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基礎報告
水質がマオウの煎液に及ぼす影響について
─特に日本と中国の上水道水の比較─
笛木 司松岡 尚則別府 正志山口 秀敏中田 英之頼 建守坂井 由美長坂 和彦牧野 利明並木 隆雄岡田 研吉岩井 祐泉牧角 和宏
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2012 年 63 巻 5 号 p. 313-321

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抄録

北京市昌平区で採水した上水道水を用いてマオウを煎じ,これを新潟市の上水道水,及び数種の市販ミネラルウォーターによる煎液と比較し,水の性質が生薬からの成分の煎出に与える影響を検討した。日中の上水道水によるマオウ煎液には,種々の相違点が認められ,北京市の上水道水に対するマオウアルカロイドの移行率は,新潟市の上水道水における移行率に比べ,約80%であった。これらの現象には,水の一時硬度成分であるカルシウム/マグネシウムの炭酸水素塩濃度が影響していることが示唆された。さらに,硬度の高い水でマオウを煎じる際にタイソウが共存することにより,アルカロイドの抽出効率を含めた煎液の状態が,軟水で煎じた場合に近づくことを見いだした。タイソウは硬水煎の際には水軟化剤としての働きを負っている可能性が示唆された。

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© 2012 一般社団法人 日本東洋医学会
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