日本東洋医学雑誌
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臨床報告
離島診療所における漢方治療
吉永 亮木村 豪雄田原 英一村井 政史三潴 忠道
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キーワード: 地域医療, 離島, 高齢者, 水毒
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2012 年 63 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

離島診療所における漢方治療の実態について,特徴的な3症例を提示するとともに報告する。筆頭著者は飯塚病院東洋医学センターにおいて漢方の外来診療を研修し,離島で漢方治療を取り入れた診療を3年間行った。2009年4月に診療所を受診した患者134人のうち,漢方治療を行った患者の割合は約25%であった。また2008年4月から2010年3月までの2年間に服用した漢方方剤を処方期間別に調査したところ,4週間未満では感冒に対する漢方方剤が上位を占め,4週間以上では八味地黄丸,大黄甘草湯,桂枝茯苓丸の順で処方が多かった。高齢者が多く,家族を含め総合的に患者を診療することが求められる離島では漢方治療は有用であると考えられた。離島という環境のためか水毒に関連する症候が比較的多くみられ,利水剤の処方が多い傾向があった。また筆頭著者自身にとっても,漢方治療を実践することで地域医療のやりがいを高めることができた。

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© 2012 一般社団法人 日本東洋医学会
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