日本東洋医学雑誌
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臨床報告
ホットフラッシュに陰証の方剤が奏効した1例
村井 政史伊林 由美子八重樫 稔今井 純生大塚 吉則本間 行彦
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2013 年 64 巻 1 号 p. 41-44

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抄録

ホットフラッシュに陰証の方剤が奏効した1例を報告する。症例は56歳の女性で,閉経後に顔面のほてりと発汗を認めるようになった。加味逍遙散と苓桂朮甘湯で治療を開始したところ,ホットフラッシュはやや改善したが,疲れた時に増悪した。そこで証を再考し,陰証で虚証と考え小腹不仁が著明であったため,八味丸に転方したところホットフラッシュはほとんど出現しなくなった。しかし疲れやすく,疲れた時にホットフラッシュが増悪したため,心下痞鞕を目標に人参湯を併用したところ,疲れにくくなりホットフラッシュは出現しなくなった。ホットフラッシュには陽証の方剤が有効な場合が多いが,病態に応じて陰証の方剤も考慮すべきと思われた。

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© 2013 一般社団法人 日本東洋医学会
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