日本東洋医学雑誌
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臨床報告
反復性発熱に抑肝散が奏効した一例
五野 由佳理堀田 広満奥富 俊之及川 哲郎花輪 壽彦
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2014 年 65 巻 3 号 p. 191-196

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抄録

14歳女児。乳幼児期より扁桃炎疑いにて入退院を繰り返し,月1回の頻度で1週間ほど続く反復性発熱が出現するようになった。学童期になると頸部リンパ節腫脹を伴う反復性発熱が頻発するようになったが,血液検査上は軽度炎症反応を認めるのみであった。不明熱と診断され,解熱剤が頻用されていた周期性発熱症候群の症例と考えられた。漢方医学的には,腹診および背診より肝経の緊張と捉え抑肝散エキスを処方したところ奏効し,約3ヵ月後より発熱を認めなくなった。過去の不明熱に対する処方のほとんどは柴胡剤や補剤であり,古典には抑肝散も不明熱に用いられると記載されているものの実際の臨床報告はない。今回,抑肝散が発熱の契機となるストレスに関与したか,免疫系のサイトカインの調節に何らかの作用を及ぼしたのではないかと推測される。

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© 2014 一般社団法人 日本東洋医学会
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