2014 年 71 巻 11 号 p. 501-507
半屈曲性の主鎖型液晶性ポリエステルの両端から非晶ポリメタクリレートを生長させたABA三元ブロック共重合体は,中央セグメントの分子量分布指数が2であるにもかかわらず,非晶セグメントの体積分率ϕamが0.20~0.52で明確なラメラ状ミクロ相分離構造を形成した.液晶セグメントはラメラ界面から垂直にほぼ伸びきるものの,折りたたまれて収容され,ラメラと平行にスメクチック層を形成した.ラメラ厚は液晶セグメントの剛直性の増加に伴い増大した.ϕam>0.68のブロック共重合体では,液晶ラメラが非晶鎖によって立方体状に切断され,球状ドメインを形成した.このように,半屈曲性液晶性高分子を一成分とするブロック共重合体のミクロドメイン構造は,液晶セグメントが配向秩序を維持する傾向と非晶セグメントがエントロピーを最大化する傾向との拮抗で決定し,液晶セグメントの剛直性と鎖長によって変化した.