日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: 27-07
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MRI装置による脳内小出血や血管性病変における磁化率強調画像(Susceptibility-Weighted Imaging)とT2*画像(T2* Weighted Image)の比較検討
保谷 友佳里柏原 雅人芝田 弘中村 裕一瀧澤 勉秋月 章
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抄録

〈はじめに〉磁化率強調画像(susceptibility-weighted imaging: 以下SWI)とT2*強調画像(T2*weighted image: 以下T2*)は,磁化率変化の生じた部分が低信号で 描出され,小出血などの検出に用いられる。SWI はT2* より磁化率変化を高感度に検出できると報告されている。 今回,SWI 画像とT2*画像における画像特性を比較し, 疾患などによる両者の使い分けについても検討した。
〈対象,方法〉頭部MRI 検査を行った131人を対象とし, 平均年齢68.9歳。撮像条件は,当院の使用条件とし,撮像 時間はSWI が3分24秒,T2*は2分とした。今回は小さ な低信号(以下斑点)を評価対象とし,当院脳神経外科医 師2名,放射線技師2名により視覚的に有無を評価し,以 下の5項目について検討した。SWI 画像とT2*画像に 描出された斑点の個数,SWI 画像とT2*画像の同一部 位に描出された斑点のコントラスト,斑点の描出された 被験者の疾患,斑点が描出された部位,被験者の検査 時の血圧。
〈結果〉斑点が認められた画像中,SWI 画像の方が描出 数の多いものは59.8%で,ST2*画像の方が描出個数の多 い画像はなかった。同一部位に描出された斑点中,SWI の方が高コントラストのものは81.6%で,SWI のコント ラストに対するT2*のコントラストは平均0.8±0.17で あった。SWI の方が有意に描出能が高い疾患はなく,小 脳と皮質下にSWI のみに描出される斑点が多かった。斑 点描出のあった被験者はなかった被験者に比べて血圧が高 かった。
〈考察〉SWI はT2*より描出能力が高いことがわかり, 特に皮質下でSWI のみで描出されるものが多いことが分 かった。SWI はT2*に比べ,得られる情報も多いが,撮 像時間がやや長い。したがって,短時間撮影をしたい超急 性期脳梗塞や体動抑制不可の被験者の場合,大きな脳出血 に付随する小出血検索などにはT2*の利用ができると考え られた。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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