〈はじめに〉磁化率強調画像(susceptibility-weighted imaging:
以下SWI)とT2*強調画像(T2*weighted image:
以下T2*)は,磁化率変化の生じた部分が低信号で
描出され,小出血などの検出に用いられる。SWI はT2*
より磁化率変化を高感度に検出できると報告されている。
今回,SWI 画像とT2*画像における画像特性を比較し,
疾患などによる両者の使い分けについても検討した。
〈対象,方法〉頭部MRI 検査を行った131人を対象とし,
平均年齢68.9歳。撮像条件は,当院の使用条件とし,撮像
時間はSWI が3分24秒,T2*は2分とした。今回は小さ
な低信号(以下斑点)を評価対象とし,当院脳神経外科医
師2名,放射線技師2名により視覚的に有無を評価し,以
下の5項目について検討した。SWI 画像とT2*画像に
描出された斑点の個数,SWI 画像とT2*画像の同一部
位に描出された斑点のコントラスト,斑点の描出された
被験者の疾患,斑点が描出された部位,被験者の検査
時の血圧。
〈結果〉斑点が認められた画像中,SWI 画像の方が描出
数の多いものは59.8%で,ST2*画像の方が描出個数の多
い画像はなかった。同一部位に描出された斑点中,SWI
の方が高コントラストのものは81.6%で,SWI のコント
ラストに対するT2*のコントラストは平均0.8±0.17で
あった。SWI の方が有意に描出能が高い疾患はなく,小
脳と皮質下にSWI のみに描出される斑点が多かった。斑
点描出のあった被験者はなかった被験者に比べて血圧が高
かった。
〈考察〉SWI はT2*より描出能力が高いことがわかり,
特に皮質下でSWI のみで描出されるものが多いことが分
かった。SWI はT2*に比べ,得られる情報も多いが,撮
像時間がやや長い。したがって,短時間撮影をしたい超急
性期脳梗塞や体動抑制不可の被験者の場合,大きな脳出血
に付随する小出血検索などにはT2*の利用ができると考え
られた。