日本温泉気候物理医学会雑誌
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原著
我が国における医療機関外においての温泉療養の実施
早坂 信哉堀口 逸子川南 公代渡邉 英明丸井 英二
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2014 年 77 巻 2 号 p. 159-170

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抄録

背景 : 日本は27,000もの源泉をもつ温泉大国である。日本人はレジャーとして温泉を多く利用しているが、代替医療の一環として医療機関外で温泉が療養目的でどのように利用されているかは明らかではなかった。それゆえ、本研究は一般住民における温泉の代替医療としての利用頻度やその目的など現状を明らかにすることを目的とした。
方法 : 2011年1月に消費者モニターとしてインターネット調査会社に登録してある20歳から69歳までの10,400人の一般住民(男女各5,200人)に対して、オンラインによる自記式調査票による調査を行った。
結果 : 10,400人の消費者モニターのうち、3,227人の者が調査に回答した(回答率31.0%)。このうち完全な回答のあった3,212人を本研究の解析の対象とした。この調査では過去1か月以内に177人(男85人5.5%、女92人5.7%)が温泉療養(入浴、飲泉、吸入)を医療機関外で実施していた。過去1か月以内に医療機関に通院した者のうち、9.1%(51人)が温泉療養を実施していた。一方、1か月以内に医療機関に通院のない者では温泉療養の実施者は3.9%(41人)であり、医療機関通院者で有意に温泉療養を実施している者の割合が高かった(p<0.001)。温泉療養を実施している者のうち、男7人(8.2%)と女1人(1.1%)の者のみが温泉療養について医師に相談をしていた。医師から温泉療養の勧めを受けていたのは、男8人(9.4%)と女2人(2.2%)だった。
結論 : この調査は、日本における一般住民を対象とした温泉療養利用に関する概要を明らかにした。温泉療養に関して医師への相談や医師からの勧めを受けていた者はごくわずかだった。

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© 2014 日本温泉気候物理医学会
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