症例は63歳,女性。びまん性汎細気管支炎で治療中,人間ドックで便潜血検査陽性を指摘され,注腸検査が実施された。注腸造影検査では横行結腸右側から盲腸まで,なだらかな立ち上がりを有する隆起性病変が散在し,その表面は平滑で,隆起に接してガス像がみられた。大腸内視鏡検査では大小の緊満感のある半球状隆起が多発し,その表面は平滑で血管透見像がみられ,鉗子圧迫にて容易に凹む,柔らかな粘膜下腫瘍様病変であった。生検鉗子による組織採取時に隆起は裂け平坦化したが,液体流出はなく,腸管囊腫様気腫症と診断した。本症は粘膜下あるいは漿膜下層にガスが囊腫様に貯留する稀な疾患で,腸閉塞や呼吸器疾患などに続発してみられることがある。今回,我々は便潜血検査陽性を契機に診断されたびまん性汎細気管支炎に合併した腸管囊腫様気腫症の1例を経験したので報告する。