Progress of Digestive Endoscopy
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症例
3D再構築画像および仮想内視鏡を用いたナビゲーションがPEG造設に有用であった進行食道癌の1例
田中 耕平片岡 涼子牧山 裕顕中村 篤志藤田 力也
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2012 年 80 巻 2 号 p. 78-79

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抄録

 近年,MDCTの普及で高分解能画像の取得が容易となり画像解析ソフトを用いた3D再構築画像が外科の術前シミュレーション,内科の仮想内視鏡診断として臨床応用されている。今回摂食不能進行食道癌症例のPEG造設にCT volume data再構築画像と仮想内視鏡画像が有用であったので報告する。
 患者は87歳,男性。食欲不振を主訴に受診。胸腹部CTにて胸部下部食道に長径6cmの腫瘍と胃小彎リンパ節の腫大(87mm)を認め入院。内視鏡ではLtに内腔を占める2型食道癌(生検:SCC)とリンパ節腫大の壁外性圧迫により胃体上部は拡張不良を呈した。また指押し試験や透過光の確認によるPEG造設部位の判定は困難であった。直後にMDCT(16列)を撮影し,得られたvolume data (1mm slice)からオープンソース画像解析ソフト(OsiriX)を用いて3D再構築画像とMPR像より仮想内視鏡同期像を構築し,左季肋部の正中寄りで胃前庭部の穿刺が可能と判断した。さらに,PEG造設時には高輝度プロジェクターを用いて3D再構築画像を患者体表へ直接投影するImage overlay navigationを用い,体表面に胃・肝臓・横行結腸の位置をマーキングし術前穿刺予定部位に胃瘻を造設した。PEG造設の可否は術前の一般CT画像や内視鏡による透過光または指押し試験で判断されるが造設不能が約5%,誤穿刺等の重大な合併症は1.3~3%との報告がある。PEG造設部位判定困難例には最新情報処理による3D再構築画像と仮想内視鏡同期像により穿刺部位を予想し,さらにImage overlay navigationを併用する方法がより安全なPEG造設に有用となる可能性があると考えられた。

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© 2012 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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