静脈学
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原著
下肢静脈瘤症例における無症候性深部静脈血栓症合併に関する検討:表在性血栓性静脈炎合併との関連について
白杉 望堀口 定昭白土 裕之川上 利光小野 寿子矢吹 志保城島 久美子新見 正則
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2014 年 25 巻 1 号 p. 13-19

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抄録

要約:一次性下肢静脈瘤(Vx)に無症候性深部静脈血栓症(DVT)が合併する頻度は不明である.われわれは,一次性Vx として愛誠病院下肢静脈瘤センターを初診した患者を対象に後方視的に検討した.2010 年1 月から2011 年3 月の間に一次性Vx と診断し超音波検査により深部静脈を精査した患者は431 人だった.431 人中20 人,4.64%にDVTを認めた.431 人のうち表在性血栓性静脈炎(STP)を呈していた患者は24 人.そのうち10 人にDVT を認めた.STP のないVx 患者407 人中DVT の合併は10 人だった.χ2 testによりSTP とDVT に相関を認めた.STP 合併Vx 患者のDVT(10 人12 肢)では,1)ヒラメ筋静脈血栓症を全肢,脛骨静脈血栓症を3 肢に認めた,2)STP とDVT の合併症例は全例C3 以上だった,3)10 人いずれも伏在型症例だったが伏在静脈の直径大小とDVT の有無に相関はなかった.STP を併発した下肢Vx 症例では下腿DVT を合併している可能性があり,深部静脈を超音波検査にて精査するべきである.

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