2013 年 24 巻 4 号 p. 410-418
要約:【背景】日本における静脈血栓塞栓症の標準的な初期治療は未分画ヘパリンの静注である.フォンダパリヌクスは化学合成されたXa 阻害剤で,採血によるモニタリング不要で規定用量を1 日1 回の皮下注にて使用できる.2011 年3 月より本邦でも使用可能となったが,日本人における有効性・安全性は不明なところが多い.【対象と方法】42例の静脈血栓症を対象とし,うち4 例は外来での投与を行った.体重・年齢・腎機能に応じて使用量を決定し,PT-INR が1.5 以上になるまで投与を継続し,最低3 カ月のワルファリン投与を行った.対象の1/3(14 例)は未分画ヘパリンからの切り替えを行った.【結果】観察期間中の静脈血栓塞栓症は認めなかった.1 例で輸血を要する大出血を認め,ビタミンK 投与にて止血可能であった.3 例で小出血を認めた.2 例の死亡があったが,悪性腫瘍関連死であった.【結語】フォンダパリヌクスは静脈血栓症の初期治療薬として有効かつ安全に使用できる薬剤である.