順天堂医学
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特集 消化器疾患:最近のトピックス
食道胃静脈瘤治療の進歩
児島 邦明北畠 俊顕板谷 光慶藤原 典子岩田 豊仁須郷 広之行方 浩二太田 秀二郎大橋 薫深澤 正樹別府 倫兄二川 俊二
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1997 年 43 巻 1 号 p. 12-20

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抄録

食道胃静脈瘤に対する治療法には多くの変遷がみられ, 近年では内視鏡的硬化療法 (EIS) が治療の第1選択として行われている. 最近ではより侵襲が低い内視鏡的結紮療法 (EVL) や, IVRの手技を応用した胃穹窿部の孤立性胃静脈瘤に対するバルーン下逆行性経静脈的塞栓療法 (BRTO) や, 頚静脈より経皮的に肝実質内の門脈と肝静脈との間に, 短絡路を形成する経頚静脈的肝内門脈静脈短絡術 (TIPS) も非観血的治療法の一つとして試みられている. 外科的治療法は, 肝機能障害の軽微なIPHやEHO症例, CHILD Aの肝硬変症例には極めて安全で有効な治療法である. 最近では手術侵襲を軽減させる目的でEISとHassab手術を組み合わせたcombined therapyも行われており, 適応拡大が図られている. またEISによる治療抵抗例や, 再発例に対する治療法としても重要である. 本論文では自験例を中心に食道胃静脈瘤の治療法とその選択につき概説した.

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© 1997 順天堂医学会
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