順天堂医学
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特集 教授定年退職記念講演
RAの関節破壊進展にかかわる因子
飯田 昇
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2011 年 57 巻 3 号 p. 226-231

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抄録

小生39年間順天堂本郷, 静岡で関節リウマチ (Rheumatoid Arthritis, 以下RA) を診てきたが, 近年の分子生物学の進歩で「RAは古くて新しい疾患」の感がする. 当時はNSAIDsが主な治療法で, あってもせいぜい金療法であった. 1980年代ごろよりD-penicillamineをはじめ次々とDMARDs (抗リウマチ薬), 90年代にはbucillamine, salazosulfapyridine (SASP), 2000年にMethotrexate (MTX) がアンカードラッグとして登場, 2005年に本邦で画期的な生物製剤が認可を経て広く使われるようになった. つまりRAは骨関節破壊の阻止ひいては修復可能でCareの時代から着実にCureの時代に入ってきたと思える. ところで, 傍関節骨粗鬆症は, RA発症早期よりX線上認められる変化であり, RAの診断に重要な所見でもある. 通常, 傍関節骨粗鬆症はRAに早期に特徴的とされるX線上の変化であり骨びらんに先行して起こり, 症例によっては関節症状が出現して数ヵ月で明らかになる. つまり, この2年以内に骨びらんや傍関節組織の骨粗鬆症が生ずる. RAは早期発見, 早期治療が重要であることはいうまでもない. しかし炎症が続いていてもまったく骨関節破壊の起きないもの, 関節炎症がないのに骨関節変形のきたすものもあり, RAの病型がHeterogeneityであり興味を注がれるゆえんでもある.

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© 2011 順天堂医学会
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